とりとめもなく書くけど。
辞任会見を見てからしばらくは、
「すごい。なんて立派な人なんだ! さすが私たちの(だって福岡人だもん)王さん!
グラウンドでのお別れはさみしいけど、今までありがとう! 王さんばんざい!」
て、感嘆しまくってたけど、もちろん今でもその思いにかわりはないけど、
いろんな記事を読むにつれ、もっと別の気持ちも生まれてきた。
特に、どこかのスポーツサイトに、辞任を発表するまでの、
9月の試合前や試合後、そして今日までに、記者を相手にした王監督のいろんなコメント集が載っていて、
それを読んでいると、王さん、これまで本当に苦しかったんだろうなーと改めて思った。
「自分の体調のこともあって、選手にプレッシャーをかけたし士気にも影響して、申し訳ないと思ってる」
と会見でも、昨日のドームのセレモニーでも言っていたけど、
それを最初は、
「さすが王さん、最後まで選手をかばって・・・」
と思ってた。
でも、それは王さんの本心だったんだろうな。
胃の全摘手術のあと、痩せてしまった王さん。
小さくなった顔の中で、目だけが前のまま強くて優しくて、言葉が明瞭で的確で、
どうしても勝ちたい、もう一度優勝したい、って思いを強く感じて、
だからこそ、頼もしい監督だったけれども、
時にそれは、テレビでそれを見るだけの私たちにさえ、目を背けたくなるくらい痛々しい姿に見えた。
近くで見て、それを感じている選手たちは、もっともっとそれを感じていただろうし、
ホークスの全盛期に立ち会っていない今の若手たち、
彼らはその頃の勢いや団結力も知らないし、コーチ陣もその頃と違うし、
その中で王さんやファンの求めるものっていうのは、
具体的にイメージできない、遠いものだったかもしれない。
プレッシャーも確かにあったんだろう。
身近でそういう雰囲気を感じるにつけ、王さんもまた、つらかったんだろう。
王さんだって人間だ。
「人格者」「大人物」ってイメージがあるけれど、けして神様じゃないし、
手術前とは体調だってまったく違うわけだし、奥さんも亡くなってからもう随分経つし、
全盛期まで苦楽を共にしてきた選手たちも最近は揃って、はかばかしくない状態、
ここんとこのホークスでの采配に疑問を呈する向きもいろいろあったけど、
こういう状況で戦うのは、周りが期待すればするほど孤独だったんだろう。
王さんだって、「世界のホームラン王」の称号を欲しいままにしてから、
巨人の監督になって優勝を逃しての引責辞任、巨人から来たからこそ、
福岡に来たとき当時は、半ば「都落ち」みたいなイメージもあったし、
ホークス監督就任後のしばらくの低迷では、すごいバッシングもあった。
でも確かにその頃は、子どもだった私も、「王さんじゃ駄目だー」なんて思ってた。
最近で言えば、「この人しかいない」的な支持を受けて北京五輪の代表監督についた星野さんだって、
今は、手のひらを返すように批判されてる。
勝負の世界だからといってしまえばそうなんだけど、
目立つ人、偉大な成績を残してきた人だからこそ、
ずっと期待され続け、一線に立たされ続けて、それで周りの評価の毀誉褒貶がある。
いつも思うけど、外野でやんや言うのは簡単だよね。
ホークスが優勝を逃そうが、代表チームが五輪でメダルをとり損ねようが、
一般市民には何の実害もないのにさ。
だから、王さんがグラウンドにいないホークスなんて凄く淋しいけど、
やっぱり「ほんとに、本当におつかれさまでした。」って思う。
辞任するに際しては、「新しいホークスになるために」っていう、
チームを思う気持ちも確かにあっただろうけど、
肩の荷が下りた部分があるなら、それでよかったのかも。
これで来年、新しい布陣になって、見違えるようにホークスが快進撃をしたら、
地元ファンとしてはそれはそれで、うれしいような淋しいようなだけど。
でもみんな泣いてたよねー。昨日のセレモニー。
小久保や松中、斉藤、川崎はもちろん。
スタンドの、えらく若い女の子のファンとかも。
私の母親だって、ケーブルテレビで試合の中継→セレモニー→各番組でのスポーツコーナーって見続けて、
それに夢中になりすぎて、娘の誕生日に電話するのさえ忘れてたぐらいだった(なんですよ。)
もちろん私もうるうるでした。
大抵の人には伝わってんだよね。
これから、WBCの監督に就任するかもしれない。
それはそれでうれしいけど、もし負けて、今の星野さんみたいに批判されるとしたら、すごく悲しい。
ホークスのGM職も続けるみたいだけど、孫さんは「終身で」なんて言ってて、
もちろんそうしてくれるのはファンとしてうれしいけど、
どっかで、王さんを解放してあげたいような気がする。
でも、ご本人が言っていたように、彼にとって野球は「ときめき」。
68歳でそういう言葉を言えること自体、ほんとに素敵すぎるし、何だかとっても複雑な気持ちよ。
身を削るくらい、ときめき続ける一生。
刺激が薄れても、穏やかな人生の後半生。
どっちがいいかなんて、もちろん周りが決めることじゃないけど。
でも何だかとっても複雑な気持ち。
どうなっても、王さんという人を敬愛する気持ちに、きっと一生、変わりはないけどね。